久しぶりの書き込みです。
ベースボールコンディショニングシステムズもオープンから1年か経ち、小学生から社会人野球までのアマチュア選手の動作指導やトレーニング指導、プロ選手のフォームチェック、コンディショニング、そして新たにコンディショニングスタッフの育成が加わり、大忙しの毎日になっています。
さて、先日「野球のための加圧トレーニング講座」が本ホームページでアップされました。その最初として、すべての野球選手に必要な投球動作づくりの基礎となる、ストレッチや体操をご紹介しています。
筋力を鍛える加圧トレーニングなのに「なぜストレッチ」「なぜ体操」と思われるかもしれませんが、正しい使い方なくして筋力は生かされませんし、技術の重要度が高い野球では「正しい動きを行なうために、その動きに必要な身体をつくる」という考え方が、本当の「野球のため」になるからです。そして、正しい投球動作を行なうための前提条件として柔軟性が不可欠です。
1昨年のシーズン後半、阪神の藤川投手が約10km/hものスピードアップに成功し、昨年には「最強のセットアッパー」として大車輪の活躍を見せましたが、彼のスピードアップはパワーアップによるものではありませんでした。投球動作の改善に取り組み、筋力トレーニングもその動作づくりや動作の安定のために行ないました。彼は球界屈指のスピードと球界No.1とも言えるボールの「キレ」を誇りますが、彼の筋力は12球団でも下から数えた方が早いほどです。つまり彼はそれほど完璧な身体の使い方をしているということです。そして、その使い方は12球団でもトップクラスの柔軟性に支えられています(おそらく球界No.1の柔軟王は千葉ロッテの渡辺俊介投手でしょう)。アマチュアとプロの投手の身体の違いを比べると、ウェイトトレーニングなどの筋力にはそう大きな差はありませんが、柔軟性が明らかに違います(あと身体のデカさ…、当時のローテ投手は全員、足が29〜30cmです)。
柔軟性というとそのトレーニング方法はジッと伸ばすストレッチと考えがちですが、関節の動きをつくるのですから動かすことが重要です。筋肉は「伸ばすもの」ではなく「ゆるめるもの」であり、水泳選手がスタート前に手足をぶらぶらさせてリラックスを図るように、筋肉のストレッチも揺らしながら「ゆるめ」、リラックスさせて最大の可動域を引き出していきます。体操は筋肉を使うことで緩ませる効果も得られ、さらに「使いまくる」ことで、動きの悪い硬い関節も次第に滑らかに動くようになっていきます。同時に動きに必要な筋力も高まります。ですから筋力トレーニングが筋肉の発達ではなく、関節の動きの強化であるならば、基本は体操にあり、体操に少しずつ負荷をかけていくのがウェイトトレーニングの本来的な姿です。この意味から「カーツ」の利用は非常に効果的です。体操そのものを、特に負荷をかけずに動きの自由度の高い効果的な筋力トレーニングに変えることができるからです。